こんにちは!共育コンサルタントの金澤と申します。
このコラムでは、「親子コミュニケーション」「子どもの主体性を引き出す」というテーマで、コーチングの観点から具体的な方法論をいくつかお伝えしたいと思っています。
お子さんだけでなくパパ・ママのこれからのお仕事でも活かせることがきっとあるはず!
ぜひご一読ください!
「待つ」について
3回目の今回は、「待つ」話です。
これまでの2回のコラムでは、目的論や氷山モデルを使って、質問をすることで相手から答えを引き出していくのがコーチングだという話をしてきました。こういう話は講演会や企業研修でもよく話をするのですが、よくこういうご質問をいただきます。
「質問をしても、相手から何も返ってこないので、無駄に思えてしまうのですが」
こういう経験、皆様はありますか?
特にコーチングを習いたてで「よし、質問してみよう」と思ってチャレンジしてみても、相手が黙ってしまったり「わからない」と答えたりすると、どうにもやりきれなくなってしまいますよね。
相手から何も返ってこないという状況は、いくつかのパターンに分類できます。
一番まずいケースは、こちらの質問に対して「何を答えても無駄だ」と相手が思い込んでいるパターンです。
これはお互いの信頼関係やこれまでのコミュニケーションによって、否定されてきたり意見を押し付けられてきたりしている場合によく起こります。
ご自身の今までのやり方を見直さないといけませんね・・・
そこまでではなくても、今まで質問されたことがないから何と答えればいいかわからない、というパターンもあります。急に意見を求められても、考えたこともなければ意見を言ったこともない。だからわからない、というわけですね。
この延長線に、「考えることに慣れていないから時間がかかる」というパターンもあり得ます。
自分の意見をまとめるのに時間がかかったり、あるいは言葉で表現することが苦手でなんと言っていいか考えている、ということも考えられるかもしれません。
いずれも見た目は黙っている、あるいはわからないという答えになると思うので、質問をする側から見るとヤキモキしてしまいますよね。
質問する側の最も大切な心掛けは、「待つ」ことです。
相手をよく観察して、考えている・頭を整理しているように見えるなら、答えは出てこなくても十分なんです。
なぜなら質問の目的は相手に考えてもらうことであり、答えをこちらが聞くことではないからです。
ましてや「こちらが期待している答えを言ってもらうこと」でもありません。相手が黙って考えている様子なら、こちらから急かしたり、変に選択肢を与えたり、答えを促したりしてはいけません。
ひたすら黙って待つのです。この時イライラしたオーラを出すのもだめなので(笑)気をつけてください。
沈黙の状態は、相手が考えていそうならむしろ歓迎すべき状態なのです。
(相手の様子を観察する際にもいろいろ注意点があるのですが、それはまた別の機会に)
一言でも相手が言ってくれたら、その言葉を借りながら少しずつ本音を引き出していきましょう。
相手の言葉の中身を評価したり修正したりするのではなく、言葉そのものがどういう気持ちで、どういうことを考えて出してくれたのかに興味を持って、さらに具体的な質問を重ねていきましょう。
ちょっとずつ相手が話をしてくれるようになったらもう8割方成功していると言っていいでしょう。あとはゆっくり慌てず、うなずきながら話を聞いていくだけです。
つい沈黙の時間に耐えきれずに、「なんか言ったらどうだ」とか「ちゃんと考えてるのか」とか言いたくなってしまう気もわかります。
でもそれは沈黙=悪い時間だという発想からくる行動です。
そうではなく、沈黙の時間はむしろ歓迎すべきもの。
相手がしっかり受け止めて考えているのであれば、じっくり待ってあげる方が結果的に良いコミュニケーションになりますし、相手の考える訓練にもなります。
ぜひ「待つ」ことに取り組んでみてください!
次回は、11月更新予定となっております。
最後のコラムになりますので、お楽しみにお待ちください!